大の将棋好き岡っ引きと新米同心の捕縛帳。「金底の歩」

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金底の歩あらすじ

井川香四郎の送る捕物帳シリーズです。

成駒の銀蔵捕縛帳とあって、主人公となるのは大の将棋好きで自身もかなりの腕前をした岡っ引きの銀蔵。その銀蔵と新米同心の小見による絶妙なコンビが織り成す捕縛帳が四作品収録されています。

若い小見に対して経験があり人情味溢れる銀蔵が身分に縛られる事なく人生論を語る内容になっています。

何より物語に将棋が深く関わっています、将棋の格言や考え方が随所に出てきます。将棋のルールを知らなくても読んでいく事ができるので読みやすくなっています。

江戸時代の将棋は庶民の娯楽でとても親しまれていたもので、捕縛帳と相乗効果をもたらして作品を楽しいものへと導いてくれます。

銀蔵と小見の絶妙なコンビで贈る作品集として読み解く事ができます。

岡っ引きの新米同心最初の事件。茸の食中毒事件か調べる「放れ駒」

冒頭から将棋を指している銀蔵を訪ねてきたのは小見です。

立場でいえば小見の方が上なのに同じ人間なのだからと普通に構える銀蔵の気質に続きを読みたいという気持ちにさせてくれる作品です。挨拶云々の話の後、銀蔵の元に駆け込んできた三太から茸を食べたら泡を吹いて倒れた人たちがいるという話を聞きます。

ただの毒茸による食中毒だとは思えない二人が下手人を探していく中で会話する銀蔵と小見のやり取りが堪らなく面白いです。何枚も上手な銀蔵に小見がキャンキャン言っているだけのようでいて真相に近付いていこうとする、その後の聞き込みも楽しいです。銀蔵は行く先々で親分、と慕われていて銀蔵の凄さが分かります。

銀蔵の考え方と行動力、そこに将棋の話を織り交ぜて進んでいき真面目な話をしていく中にも笑ってしまうような描写もあって読みやすく仕上がっています。見どころは何と言っても銀蔵と小見の会話です。

銀蔵が高利貸の隠居と将棋時に事件。金の将棋格言の「金底の歩」

表題にもなっているこの作品も冒頭から将棋をしています。

印象的なのはここで将棋用語が出てくるところです。それは将棋を知らない人でも知っているような有名な用語で成金があります。一般人が金持ちになる事を言いますが将棋用語なのだとここで知る事もできます。

一番弱い駒である歩が相手陣に入る事で金に成る事ができるから成金、そういう事も分かりやすく描かれているので物語の中に入っていけます。捕縛帳の話も当然惹き込まれる要素が含まれています。

矢張り銀蔵と小見のやり取りは面白いですしテンポもいいので読みやすいです。最後の方に出てくる一歩千金の説明も分かりやすくて読みながら頷いてしまえる力強さがあります。

小見が少し可哀想に見える描写もありますが全体的に納得できる作品となっています。

阿片密売の売人を捕縛!!桂馬の格言も分かる「桂馬の高飛び」

話の冒頭で銀蔵の師匠である金将が出てきます。その金将の言葉で銀蔵が呼ばれて事件の真相に近付いていくお話です。

金将が斬られたばかりの女を見て銀蔵を呼ばないといけないと判断します。噺家の師弟としての信頼もあっていいなと思えます。金将が怪我をさせられたので銀蔵も少し怒っています。

阿片の売人が逃げるための抜け道がある場所が雪隠にあるのも作品の面白いところです。頭を強く打って眠ったままの師匠を心配する銀蔵と小見が事件解決に動きます。

この作品の中で出てくる将棋の話は桂馬です。特殊な動きをする桂馬に例えて話が進み、慎重になりすぎて気を逸してはいけないという勝負の絶妙な呼吸を教えてくれる話になっていて人生論まで教えてくれるような内容となっています。

殺しを目撃してその下手人に追われて怪我をしてしまった金将はとんだとばっちりですが全体において信頼し合っている師弟の絆を読む事ができる作品でした。







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